

Googleの新フレームワーク「ADK」導入ガイド:Hello Worldから専門エージェント作成まで
Googleが公開したADK(Agent Development Kit)は、Geminiを活用したAIエージェントを効率的に開発するためのフレームワークです。
この記事では、ADKの導入方法から「Hello World」の実行、そして特定タスクに特化させるためのプロンプト設計(Instruction)のサンプルまでをステップバイステップで解説します。
0. 事前準備:環境の確認
ADKは最新の機能を利用するため、Python 3.10 以上 が必須です。
ターミナルで以下のコマンドを実行し、バージョンを確認してください。
python3 --version
3.10.x 以上であれば問題ありません。もし 3.9 以下の場合は、Python公式サイトから最新版をインストールしてください。
1. APIキーの作成
Geminiを利用するために、APIキーを取得します。
上記にアクセスして「Create API key」ボタンを押下してキーを作成します(無料枠で利用可能です)。
キーをコピーしておいてください。
環境変数名を GOOGLE_API_KEY としておくと、ADKが自動的に読み取ってくれるため、コード内での認証記述を省略できてスマートです。
2. プロジェクト作成と仮想環境の構築
Pythonプロジェクトでは、PC全体の環境を汚さないために「仮想環境(venv)」を作るのが一般的です。JSでいう npm init や node_modules の作成に相当します。
# 1. プロジェクト用のフォルダを作成して移動
mkdir my_adk_project
cd my_adk_project
# 2. 仮想環境(.venv)を作成
python3 -m venv .venv
# 3. 仮想環境を有効化(アクティベート)
# Mac / Linux の場合
source .venv/bin/activate
# Windows (PowerShell) の場合
.venv\Scripts\Activate.ps1
※ 有効化されると、ターミナルの先頭に (.venv) と表示されます。
3. ADKのインストールと雛形作成
次に、ADK本体のインストールと、ボイラープレート(テンプレートファイル)の生成を行います。
# ADKのインストール
pip install google-adk
# エージェントの雛形作成 (ここでは 'my_agent' という名前で作成)
adk create my_agent
実行中に以下の入力を求められる場合があります:
- Choose a model: 提案されたモデル(gemini-2.0-flash など)を選択します。
- API Key: 先ほど取得したAPIキーを入力します。これにより、自動的に .env ファイルが作成されます。
4. 起動と動作確認(Hello World)
作成されたディレクトリへ移動し、エージェントを起動してみましょう。
cd my_agent
adk run agent.py
ターミナルに User: という入力待ち画面が出れば成功です。
「こんにちは」と打って、AIから返事が返ってくることを確認してください。
5. 専門エージェントへのカスタマイズ
ADKの肝は、agent.py 内の Agent クラスの設定です。特に instruction を作り込むことで、特定の専門性を持たせることができます。
パラメータの役割
- name / description: ログの識別や、マルチエージェント構成時に「どの方針でどのおエージェントに振るか」を判断するために使われます。
- instruction: エージェントへの具体的な命令書です。役割、回答ルール、トーン、禁止事項を詳しく書くほど精度が上がります。
サンプル1:シニアPythonレビュアー
コードの品質管理に特化したエージェントの例です。
from google.adk.agents.llm_agent import Agent
python_reviewer_agent = Agent(
model='gemini-2.0-flash',
name='python_code_reviewer',
description='Pythonコードをレビューし、バグ指摘やPEP8準拠の修正案を提示する。',
instruction="""
あなたは熟練したシニアPythonエンジニアです。以下のガイドラインに従ってレビューしてください。
1. **役割**: 論理的誤り、セキュリティリスク、パフォーマンスのボトルネックを特定する。
2. **回答フォーマット**:
- 問題点の要約
- 修正コード(必ず型ヒントを追加すること)
- 初心者向けの解説
3. **制約**: 常にPEP 8に準拠し、批判的にならず教育的なトーンを維持すること。
"""
)
サンプル2:問い合わせ解析(JSON構造化出力)
ユーザーの入力を解析して、システムが処理しやすいJSON形式で返す例です。
from google.adk.agents.llm_agent import Agent
inquiry_analyzer_agent = Agent(
model='gemini-2.0-flash',
name='inquiry_analyzer',
description='問い合わせ文をカテゴリ分類・優先度付けしてJSONで返す。',
instruction="""
あなたは問い合わせ解析AIです。入力を解析し、以下のJSON形式のみを出力してください。
### 出力ルール
1. フォーマットは純粋なJSONのみ。Markdown(```json)は含めない。
2. JSON以外の挨拶や解説は一切出力しない。
### JSONスキーマ
{
"category": "[不具合報告, 機能要望, その他]",
"priority": "[High, Medium, Low]",
"summary": "30文字以内の要約"
}
"""
)
まとめ
Google ADKを使うことで、APIの複雑な呼び出しを意識することなく、エージェントの「役割(プロンプト)」の設計に集中できるようになります。
まずは1つの専門エージェントから始め、慣れてきたら複数のエージェントを組み合わせた「マルチエージェントシステム」の構築にもチャレンジしてみてください!
